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営業用名刺

名刺は営業ツールのひとつですから営業用名刺というのは少し変ですが、ここでは新規顧客獲得を主な目的とした名刺という意味でご紹介します。新規顧客ですから相手はあなたのことを知りません。どこに連絡したらよいのか、どんな業務を扱っているのか、何も情報は持っていないのが普通です。そういった人に91mm×55mmの小さな紙片であなたに興味を持ってもらい、効率よく情報を伝えて顧客獲得に結び付けていくことが営業用名刺の目的です。

SWOT分析
名刺のデザインを考える前に自身の置かれている環境を確認しておくと盛り込む内容を整理することができます。経営環境の分析手法なのですが、SWOT分析という、自身を取り巻く環境を内部と外部に分けて分析していく手法が有名です。
まず内部環境、つまり名刺を渡す本人や事務所の持つ強み(S)と弱み(W)を分析します。そして外部環境では取り巻く外部の環境に存在する機会(O)と脅威(T)を分析します。たとえば、資格を持った若い方が事務所を開設したとしましょう。内部の環境分析では若いことは(実際はそうでないとしても)実績が少ないと見た目に判断されますので弱みといえます。経験が少ないと業務の幅も限られますので、仕事の機会に恵まれないのも弱みです。これは考えると結構出てきます。

一方、強みは広く考えれば独占業務を含む資格を持つことといえますが、一般的に独占業務の範囲は広くはなく、他の士業の方と重複することが多いでしょう。他の士業の方や同じ資格を持つ方との視点から考えると強みではないといえそうです。では、何を強みとすればよいでしょうか。まず、過去の仕事で扱ってきた内容が候補に挙がります。以前会社に勤めていて会計を担当していたのであれば会計業務を強みに持ってくることができます。総務関連なら様々なタイプの書類に少なからず接する機会はあったかもしれません。人脈が多い、他士業とのつながりがある、地域の事情に詳しい、これも強みです。もし、そういった機会がなかったのなら特定の分野を勉強して専門分野を確立してしまい、強みを作ることもできます。

次に外部の環境分析ですが、これは自身の手では変えることができない社会の状況ということになりますが、全国で共通する状況である必要はありません。地域固有の環境に応じた分析も必要に応じて行うべきでしょう。機会の中でとらえ易いのは法律の改正です。新しい制度ができる時の仕事の需要は一時的であれ増えることが多いものです。マイナンバー制度の導入で忙しい会社の方もおられるでしょう。このように国民全体に影響するような法律改正・施行での影響は大きいでしょうし、小さな改正でも特定の分野では大きな変化になるケースは機会と考えられます。法律の改正は脅威になることもあり、規制緩和でこれまで行ってきた業務の需要が急減することも考えられます。
社会変化も大きな影響を与えます。インターネットなど情報発信が容易にできることになったことも、人によっては機会であったり、脅威であったりします。これらを書き出して整理していくと、自分がどういった分野を扱っていけばよいのかがだんだん分かってくるようになるかもしれません。

また、弱みを克服する方法がないのか、強みを生かしていくにはどうすればよいのか、脅威を機会に変える方法がないか、機会をうまく捉えるにはどうしたらよいかなども検討していきます。SWOT分析の結果をクロス分析して右のような方向性を探ることでさらに明確になることもあります。

市場細分化
自分がこれから主に扱っていく業務分野が見えてきたところで今度は狙うべき対象を明確にしていきます。対象を明確にするためには一定の基準にしたがってターゲットとなる顧客を分類していくことが必要です。さらにそれぞれの顧客に何を提供すべきなのかも検討します。

かつて、フォードというアメリカの自動車製造会社はT型フォードという1種類の車を大量生産することで当時、高嶺の花だった自動車を安く供給し、高い販売シェアを築きました。その後、ライバル会社であるGMは顧客のニーズを分析し、ニーズに合う車の種類を増やして販売シェアの回復に成功したのです。フォードの手法は誰もが安い車を買いたいという共通のニーズに着目したもの、GMの手法は個々のニーズの違いに着目したものです。

現在では誰もが同じニーズを持っているということはほとんどありません。ひとつの業務分野の中で同じに見える顧客も切り口を変えてみるとさまざまな考え方を持っています。一定の基準で分類された顧客に適切な方法で集中的に営業活動を行わなければ効果が現れにくいということを理解しておく必要があります。

上の図はD.F.エイベルが分類した標的市場の捉え方です。縦列のPが分類された顧客、横列のSが製品・サービスです。(1)はすべての製品・サービスをすべての顧客に提供しようというもの。(2)はすべてのの製品・サービスを特定の顧客に提供、(3)はひとつの製品・サービスをすべての顧客に提供、(4)は特定の製品・サービスを特定の顧客に提供するものを複数持っているタイプです。(5)がひとつの製品・サービスを特定の顧客に提供するものです。顧客分類の基準は地域、年齢、性別、職業、ライフスタイルなどが使われます。

開業当初は(5)単一セグメント集中型でスタートし、いくつかの得意分野を発掘して(4)選択的専門型に進むケースが多いのではないでしょうか。法人を中心顧客に持つ場合は法人のニーズに合わせて業務分野を広げて(2)製品専門型(特定の顧客のニーズを一通り満たす業務展開を行う)に発展することも考えられます。顧客のニーズに合わせて業務を展開する場合は一人の顧客から複数の業務を獲得できるメリットがありますが、その分だけ業務の専門性が薄れるなどのデメリットがあります。(3)市場専門型のように単独の専門業務をあらゆる層の顧客に提供しようとすれば、ライフスタイルが多様化した現代では顧客に情報を伝達するためにさまざまな方法を駆使する必要が出てきます。

これらを検討した上でターゲットとする顧客に最も効率よく情報伝達できるようにしなければなりません。本題に戻りますが、名刺の中で業務案内をする場合でもこの考え方は生かすべきです。関連の無い業務を20も30も無造作に並べても最後まで読んでもらえません。関連する業務ごとにグループ化したり、対象とする顧客のニーズを想定してまとめたりします。表や図で視覚的に表現するのもいいでしょう。

デザイン案の作成
これまでの手順を読んで内容をまとめた上で、ようやく営業用名刺のデザインの検討に進みます。これらを検討せずに先に内容を作ってしまい、後で上の手順を読むと、やり直しになってしまう可能性が高いでしょう。なぜなら、自分がどういった状況の中にあって、誰に、何を提供しようとしているのかが明確になっていないため、何を伝えたいのか分からない内容になってしまっているからです。配置など具体的な考え方は特集1「名刺記載内容の検討」でご紹介していますので参考にしてください。

上の記事は旧サイトの特集ページで掲載していたものを一部改変して再掲載したものです。


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